ガスファンヒーターの選び方とおすすめまとめ

ガスファンヒーターに関して、どういうものがあって、どういう違いがあるのか、何に注目して選べばいいのかなど、選び方とおすすめに関してここにまとめようと思う。

ガスファンヒーターの暖房コストと暖房能力について

ガスファンヒーターの暖房コストと暖房能力については下記の記事を参考にするのがよいだろう。
暖房器具の強さと暖房費・電気代と暖房効率を徹底比較した結果まとめ
詳細を知りたい方は紹介した記事の方をご覧いただくとして、上記のポジショニングマップは、一般的によく使用されているタイプの各暖房機器に関する暖房の強さと暖房効率の関係をまとめたものである。

1円あたりの発生熱量が一番高い、つまりコストパフォーマンスが一番高い暖房は図の一番右に位置するエアコンなのであるが、最も暖房出力が高いのは、図の一番上に位置するガスファンヒーターであることがわかるであろう。

コストパフォーマンスも、都市ガスファンヒーターに関しては石油ファンヒーターに少し劣る程度であり、電気ヒーターを使った暖房の2倍以上の暖房効率を持っていることがわかる。

ガスホースが届く範囲にしか設置ができないという欠点はあるが、石油ファンヒーターのように面倒な作業が必要なく、即時点火ですぐに部屋を暖めることが出来、石油暖房ほど空気を汚さないという長所がある。

また、エアコンとの比較でも、コストパフォーマンスは劣るものの、高出力の熱風をすぐに排出するため、エアコンよりも早く暖かさを実感することができるという大きなメリットがある。仕組み上、燃焼時に水分が発生する(都市ガスの主成分メタンは、燃焼することで水と二酸化炭素になる)ので、エアコンよりも室内の湿度が保たれるという利点もある。

暖房機器のおすすめの使い方としては、まずは即暖性の高いガスファンヒーターで人と部屋を素早く暖め、その後室内が暖まった段階で、暖房効率が高く、空気を汚さないエアコンに切り替えるというのが、快適性とコストパフォーマンスの両方を満たすやり方ではないかと私は思う。

なお、プロパンガスのガスファンヒーターに関しては、普通に存在するし、使用も可能であるが、上記の通りコストパフォーマンスがかなり悪い。暖房効率最悪の電気ヒーター系暖房に迫る勢いだ。あまりおすすめはしないかなというのが正直なところだ。暖房代など気にしないという人は、石油ファンヒーターよりも便利なので使うとよいと思うが。


ガスファンヒーターの主要メーカーとシェアについて

さて、暖房機器の中のガスファンヒーターの位置付けを説明したので、次に、ガスファンヒーターを作っているところはどんなところがあるの?というところから説明をしていこうと思う。

ガスファンヒーターは主にリンナイとノーリツの大手2社が作っている。下記のソースによると、ガスファンヒーターのシェア7割はリンナイとのことで、他に登場する名前がノーリツしかないことから、2011年11月時点でリンナイ7割、ノーリツ3割のシェアと考えてよいだろう。
株式会社ジャパンガスエナジー|販売事業者様向け情報(LPガス,LPG,機器,設備)|競合エネルギー情報
 ガスファンヒーターで約7割のシェアを握るリンナイは、年初に立てた今年度の販売計画台数を3割上方修正しました。10~11月の生産台数は前年同期比5割増のペース。「通常は即納が基本だが、あまりの需要の多さに今注文いただいても納入までに1~1カ月半かかってしまう状態。特に今年は東北地方の注文が多く、いまだに停電がある地域などではガスストーブが非常に見直されている。関東でも計画停電があった地域では同じ現象が見られる」(広報室)といいます。
 ノーリツも足元フル生産の状態です。「追加注文があった場合には、生産期間を延長するなどの対策を講じて前年比3割増まで生産できる体制を整えた」(広報部)と話しています。
さらに、ノーリツが出している下記の資料も参考になるであろう。
「当社の見解」に関する補足資料 - ノーリツ(PDF)
2008年からガスファンヒーターの市場に新規参入したとの記載がある。注目すべきは2008年の需要台数と販売台数の数値。需要台数というのは、何かしらのデータを持っているであろうノーリツが推定した、ガスファンヒーターの市場全体の販売台数と見て良いだろう。これが61万台で、そのうちノーリツが販売したのが23万台とのことなので、2008年時点のノーリツのガスファンヒーターシェアは37.7%というのがノーリツによる推定値。

もう一つ、ガスファンヒーターの利用地域は、コストパフォーマンスの関係から都市ガスの展開地域が中心になるのだが、都市ガスに関しては、関東地域を担当する東京ガス、関西地域を担当する大阪ガス、愛知、岐阜、三重の中部地域を担当する東邦ガス、福岡、長崎、熊本の九州地域を担当する西部ガス(さいぶがす)の大手都市ガス4社が存在する。

それぞれのガスファンヒーター紹介ページが下記。
東京ガス : ガス機器・設備 / ガスファンヒーター
ガスファンヒーター/大阪ガス
東邦ガス|ガス機器情報|ガスファンヒーター
ガスファンヒーター | 商品ラインアップ | ガスファンヒーター|ガス機器|ご家庭のお客さま|西部ガス

この大手都市ガス4社で展開しているファンヒーターを型番ベースで検索すると、すべてリンナイとノーリツの2社が生産していることがわかる。各都市ガス会社は自分たちで生産しているわけではなく、リンナイとノーリツに生産を委託し、それを自分たちの名前で売っているというわけだ。

これらを踏まえると、
・ガスファンヒーター市場はリンナイとノーリツの2社でほぼ独占されている
・複数ソースを確認した限り、ガスファンヒーターのシェアはリンナイが7割、ノーリツが3割
・ガスファンヒーター市場に古くから参入しているのはリンナイ、ノーリツは2008年に新規参入した
ことがわかる。

つまり、ガスファンヒーターの選択肢はメーカーベースではそもそも2つしかないということだ。


ガスファンヒーターにおけるリンナイとノーリツの違いについて

ガスファンヒーターのメーカーはリンナイとノーリツの2社があることがわかった。では違いは何なのかというのが次に気になるところだろう。基本的に性能上の違いはほぼないと言って良い。同じ広さ用のガスファンヒーターにおいては暖房出力が変わるわけではないし、燃費に関しても、ガスファンヒーターにおいては発生熱量=ガス消費量になるので、暖房出力が同じ以上、ガス消費量も全く同じになり、コストパフォーマンスの差も生じない。

つまり、もうデザインと付加機能くらいでしか差分はないのである。じゃあ付加機能に関してはリンナイとノーリツで何が違うのかというと、スタンダードなモデルでは差分無しで、付加機能追加モデルに関しては、リンナイの機種はシャープのプラズマクラスター機能が搭載されており、ノーリツの機種にはパナソニックのナノイー機能が搭載されているというのが違いである。

どっちがよいかと言われたら、好きにしてくださいとしか言えないのだが、一応参考になりそうな記事を紹介しておこう。
空気清浄機プラズマクラスターとナノイーは何が違うのですか?またどちらの方... - Yahoo!知恵袋
現時点では
・除菌効果の高いプラズマクラスター
・消臭、美容効果が高いナノイー
とイメージされる場合が多いです。
【空気清浄機の選び方】シャープ「プラズマクラスター」VSパナソニック「ナノイー」 - 日経トレンディネット
 空気清浄機における除菌方法は大きく分けて2つある。
 空気中に微細なイオンを放出し、浮遊ウイルスを分解・除去する方法と、気流に乗せて吸い込んだウイルスを本体内部に取り込んで分解・除去する方法だ。分かりやすい表現方法として、放出タイプを燻蒸式殺虫剤「バルサン」、本体に取り込むタイプを粘着式ゴキブリ駆除用品「ごきぶりホイホイ」に例えて説明しているメーカーもある。
 前者の“放出系”の代表格といえるのが、シャープの「プラズマクラスターイオン」と、パナソニックの「ナノイー」だ。
ということで、どちらの記事を読んでも、もうどうでもいいんじゃないかというのが率直な感想だ。私自身は、こうした付加機能のないスタンダードなタイプのものを所持しており、特にメーカーによる違いというのは意識して選んではいない。

ガスファンヒーター選びで重要なのはメーカーではなくサイズ

ガスファンヒーターはガスを燃焼させて、その熱を温風として吹き出すというシンプルな構造であり、そもそも機能差分を作りにくいタイプの製品である。ただし、1点だけ気にしたほうがよいポイントがある。それはサイズである。

サイズというのは、ファンヒーターのサイズというより、対応する部屋のサイズである。ガスファンヒーターのサイズは、どの都市ガス会社でも3種類に分かれている。木造7畳鉄筋9畳対応の20号と呼ばれる暖房出力2.44kWのタイプ、木造11畳鉄筋15畳対応の35号と呼ばれる暖房出力4.07kWのタイプ、そして木造15畳鉄筋21畳対応の50号と呼ばれる暖房出力5.81kWのタイプである。

どれがいいかわからないなら、一番スタンダードなのは35号のタイプなので、それを選ぶのがよいだろう。デザインや付加機能などの選択肢が一番広いのもこのタイプである。

ちなみに、木造だの鉄筋だのコンクリートだのといった表現が何を意味しているのかというと、木造というのは基本的に一軒家のことだと思えば良い。そして鉄筋やらコンクリートというのは、マンションなどの集合住宅のことである。木造の家の方が鉄筋コンクリートのマンションよりも断熱効果が低いので、同じ暖房出力なのに対象となる広さが異なるということである。

ただ、個人的には6畳の部屋であったとしても、35号の機種にしておいたほうがよいのではないかと思う。というのは、私自身コンパクト性を重視して20号のガスファンヒーターを買ったのだが、以前持っていた35号のものの方がやはり出力が高く、快適性が高かったと記憶しているからである。

20号の2.44kWの暖房出力というのは、一般的なエアコンの標準稼働の出力と同じくらいである。とはいえ、温風が直接人に当たるので、寒い室内で早く人を暖める分、快適性はエアコンより高いのであるが、35号の4.07kWくらいある方が満足できるのではないかなというのが率直な感想だ。

購入したガスファンヒーターを別の地域に引っ越しても使用することができるか?

一応担当ガス会社に確認をするのがよいと思うが、基本的に都市ガス用のファンヒーターは他の地域でも使用することができる。というのは、現在都市ガスの成分は13Aと呼ばれる規格への統一が進められており、少なくとも東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスの大手ガス4社に関しては、2015年12月確認時点で13Aへの統一が完了している。同じ規格の都市ガスに関しては、設定の変更等は不要で、他地域で購入したガスファンヒーターの使用が可能である。

ただし、下記のサイトによると、まだ別規格の都市ガスを使用している中小都市ガス業者があるようなので、そういった地域に引っ越した場合は、都市ガス会社に問い合わせが必要になるかと。
都市ガスの種類とウォッベ指数、燃焼速度 - blog - 川口液化ケミカル

大手ガス4社のエリア外に引越しても購入したガスファンヒーターが使えるかという質問に対する回答を引用しておこう。
引越し先でも東京ガス製のガスファンヒーターは使えますか? | ご家庭のお客さま向けFAQ | 東京ガス
お客さまのお引越し先が都市ガスの場合、基本的にはご使用いただくことが可能ですが、念のため、お引越し先のガス会社にご確認をお願いいたします。
プロパンガスの場合は、部品を交換していただくことにより、引き続きご使用いただける場合がございます。詳しくは、お引越し先のプロパンガス販売店にご相談ください。
なお、弊社製のファンヒーターは、3年間の無料保障がついておりますが、これは東京ガス供給エリア内、東京ガスご使用の場合のみ対象となりますのであらかじめご了承ください。
大阪ガスの供給エリアから引っ越しますが、現在使用しているガス... - よくあるお問い合わせ/大阪ガス
現在ご使用のガス機器(13A用)がご転宅先で使用可能かどうかは、ご転宅先のガスが13A用機器に適合していることが必要です。
また、電気の周波数が「60ヘルツ」と「50ヘルツ」で異なり、機種によっては部品の取り替えが必要な場合があります。詳しくは、転宅先のガス会社へお問合せをお願いします。
東邦ガス| Q&A-よくある質問-ガスファンヒーター
Q:引っ越しした場合、転居先でもガスファンヒーターは使用できるのでしょうか?
A:ガスの供給会社が東邦ガスでなくても、転居先でのガス種が都市ガス12Aか13Aであればお使いいただけます。 あらかじめ、転居先のガス供給会社にガス種を確認していただくことをおすすめいたします。
ただし、東邦ガスの供給エリア外に転居された場合、ガスファンヒーター故障時における東邦ガスの修理保証は失効となりますのでご了承ください。 保証の詳細につきましては、商品に同梱された保証書にてご確認ください。
西部ガス|よくあるご質問|ガス機器に関すること:機器の購入
西部ガスのエリア外で買ったガス器具は使用できますか?
お客さまのガス器具に「都市ガス用12A 13A」と表示されていれば、お使いいただくことができます。ご不明な点があれば、各地区のお客さま窓口またはもよりの西部ガスリビングメイトまでお問い合わせ下さい。
ということで、基本的に13Aの都市ガスを使用している地域では使用できるが念のため確認してくださいというのが各社のスタンスになる。13A用のガスファンヒーターであれば基本的に地域をまたがって使用することが可能である。

ガスファンヒーターを格安・激安で購入するには

ここまで把握できると、必ずしも各ガス会社が販売しているガスファンヒーターを定価で購入する必要がないことに気が付くのではないだろうか。自分の住んでいる地域の都市ガスが13Aであることを確認して、念のため地域の都市ガス会社に「○○というガスファンヒーターを購入したのですが使えますでしょうか?」と、既にそのファンヒーターを購入済みという体で相談をしておけば、わざわざ自社のファンヒーターをおすすめされることもなく回答がもらえることだろう。

楽天とアマゾンで販売しているガスファンヒーターは下記の通り。
楽天で「ガスファンヒーター」を検索
アマゾンで「ガスファンヒーター」を検索

この際に注目すべきなのは2点で、暖房の最大出力と、それが都市ガス用かプロパンガス用かという点である。こだわりが特にないなら、木造11畳鉄筋・コンクリート15畳対応の35号、暖房出力4.07kWのものを選んでおけば良い。

値段に関してはタイミングによって変わるので、各自ご確認いただきたいが、普通に都市ガス会社の名前で売っているガスファンヒーターを定価で買うのとどれくらい差が出るのか、私が確認した時点のものを例として記載しておこう。

まず、東京ガスのノーリツが生産しているスタンダードな暖房出力4.07kWのものが税込59,184円で販売されている。東京ガスでの機種名はNR-C535FHと書かれているが、説明書を見てみると、GFH-4003Sというノーリツ側の型番名が書かれている。

ではこれが楽天やアマゾンではいくらで売られているかというと、確認時点で楽天では送料込みの税込26,800円で販売されており、アマゾンでは送料税込23,800円で販売されている。

つまり、今まで説明してきた「各都市ガス会社のファンヒーターはリンナイかノーリツが生産しているものに、別の型番ラベルを貼り付けて自社名で販売しているだけ」ということに気が付きさえすれば、ネット上で同じ機能を持ったものを半額以下で購入することができるのである。

今回はわかりやすく型番を用いて、特定機種の値段の例を示したが、基本的にリンナイでもノーリツでもスペックは変わらないので、暖房出力と、それが都市ガス用かプロパンガス用かという2点にのみ注目しておけば、型番すら特に気にする必要もないだろう。