暖房料金のコスパベースで分類すると暖房器具はたった4種類しかない件について

暖房の料金について計算をしていて気がついたこと。それは暖房料金のコストパフォーマンスベースで分類すると暖房器具はたった4種類しかないということである。この記事ではそれについて詳しく説明をしようと思う。

暖房に関する最重要原則として把握していただきたいのは、エアコンを除くと、暖房の出力=エネルギー消費量になるということである。何を言っているのかというと、暖房出力4kWの石油ストーブは暖房出力2kWの石油ストーブの2倍の灯油を消費し、暖房出力1.2kWの電気ストーブは暖房出力0.6kWの電気ストーブの2倍の電気を使用するということである。

この原則は、同じエネルギー源を使っている限り変わらないのである。消費電力1500Wのオイルヒーターよりも消費電力1500Wの遠赤外線ストーブの方が体感的には暖かく感じるかもしれないが、発生させている熱量はどちらも1.5kWで変わらないのだ。どちらも電気抵抗で同じだけの電力を消費し、同じだけのジュール熱を発生させており、それをオイルを暖めることに使って部屋をじわじわ暖めているのか、直接人を暖めているのかの差でしかない。

この原則を踏まえると、最初に述べた「暖房料金のコストパフォーマンスベースで分類すると暖房器具はたった4種類しかない」という意味がわかってくるだろう。暖房の資源となるものは、薪などの一般家庭の暖房としては実用的でないものを除くと、電気、ガス、灯油の3種類である。

先に述べたとおり、エアコンを除くと同じ資源を用いた暖房機器については、発生熱量の差は資源消費量の差でしかないので、コストパフォーマンスとしては差がない。従って、暖房料金のコストパフォーマンスベースで暖房を分類すると、ガス暖房、石油暖房、電気ストーブなどの電気抵抗を熱に変えるタイプの電気暖房、ヒートポンプを用いた暖房であるエアコンの4種類になる。

さて、先程から電気を使った暖房に関して「エアコンを除いて」という書き方をしてきたが、なぜエアコンだけは他の電気暖房と異なるのかを説明しよう。結論から書くと、他の電気ストーブやセラミックヒーターのような「電気抵抗を使ってジュール熱を発生させる方式」の暖房とは熱を発生させる仕組みが異なるのである。

ではエアコンはどうやって熱を発生させているのかというと、実はエアコンは電気を使って熱を発生させてはいない。室外から熱を持ってきているのだ。

そうするとこう疑問に思う人もいるだろう。「室内よりも寒い室外のどこにそんな熱があるのか?」と。実はある一工夫をすることで、寒い室外の空気を暖かい空気に変えることができるのである。それは空気に圧力を加えること。

空気には(というより気体全般の性質)圧力を加える事で熱を持つ性質があるのだ。というより、圧力を加える事で、元々存在していた熱が凝縮されたと考えたほうがよいだろう。これが実感できないという人は、物置にしまってある浮き輪を空気でパンパンにするか、自転車置き場にある自転車のタイヤに目一杯空気を入れてみると良い。浮き輪やタイヤが熱くなっていることがわかるだろう。

この性質さえ理解すれば、エアコンの仕組みを理解するのは簡単だ。
1.外の空気に電気で圧力を加えて熱を持たせる
2.その熱を冷媒に伝えて室内に運んで熱を放出
3.圧力を元に戻してさらに冷たくなった空気を外に放出
という3つのプロセスを経る仕組みがヒートポンプと呼ばれるエアコンの熱を運ぶ仕組みである。

このプロセスを逆向きに回せば冷房にもなるというわけだ。ポイントとしては、エアコンは電気を熱に変えることには使用せずに、空気に圧力を掛けて熱を取り出すことに使っているということである。そしてこのヒートポンプ方式のほうが、同じ消費電力で多くの熱を取り出すことができるのである。

だから、1円あたりの発生熱量としては本来電気はコストパフォーマンスが最低であるにも関わらず、結果的に石油暖房やガス暖房を抑えてコストパフォーマンスの最も高い暖房になっているのである。